パターン1 ②凍る事業、動けぬ後継者

後継者がいても、止まってしまうことがある。 名義や契約の“そのまま放置”に潜むリスクとは

はじめに|「うちは大丈夫」にひそむ2つのリスク

家族や身内が「いつかは継ぐ」と言っている。
すでに仕事もある程度任せている。
→ だから「うちは大丈夫」

…と思っていませんか?

でも、その“もう決まっている”状態、
ほんとうに大丈夫なんでしようか?
事業を止める原因は「継ぐ人がいないこと」だけではありません。

名義、契約、制度のことをそのままにしていると、いざという時に事業が止まってしまう。
さらには、信頼関係や人とのつながりが後継者にうまく移らず、取引が切れたり、従業員が辞めたり、ということも。

このページでは、「後継者が決まっているけれど、準備が足りない」ケースに絞って、
どんなところが落とし穴なのか、どう備えておけばいいのかを、わかりやすく整理していきます。

名義も契約もそのまま=制度的リスク

まずは、「制度」や「手続き」の面から見てみましょう。
名前が変わっていないだけで、口座も、契約も、許可も、止まってしまうことがあるんです。

【1】銀行口座が凍結されると、お金が一円も動かない

多くの個人事業主さんが使っているのは、代表者の個人口座です。でもこの口座、名義人が亡くなった瞬間に、基本的に凍結されてしまいます。(正確には銀行が亡くなったことを把握すると、ですが。)

「まだ振込もあるのに…」「今月の支払いが…」と思ったところで、銀行は動いてくれません。ATMでもネットバンキングでも一円も動かせなくなります

「じゃあ委任状を用意しておけば?」と言うかたもいらっしゃますが、委任状が効くのは、生きている間だけ。亡くなったら無効です。

→ 対策は?

  • 法人化して、法人名義の口座にしておく(法人は死なないので凍結されない)
  • 支払い用の口座と生活費の口座を分けておく
  • 今のうちに、銀行のルールを確認しておく

【2】リース契約や業者との取引も無効に?

たとえば、車両や機械のリース契約。相手は「今の社長さんだから契約してる」と思っていることもよくあります。

実際、契約書をよく見ると「名義の譲渡は禁止」なんて書いてあることも。こうなると、契約の名義を変えるだけでは済まず、いったん解約→再契約という手間が必要になることがあります。

しかも、再契約には審査があるので、後継者の年齢や信用実績によっては、条件が不利になったり、断られたりすることも。

→ 対策は?

  • 今の契約書を見直して、「名義変更」が可能か確認しておく
  • 契約先に、事前に「名義を変える場合はどうすれば?」と相談しておく
  • 法人化していれば、「会社として契約」する形に切り替えることもできる

【3】許認可はどうなる?

飲食店、建設業、古物商、運送業…。いろんな業種で「営業許可」や「免許」が必要ですよね。

でも、これらの許可は、人(代表者)や法人にひもづいているため、勝手に名前だけ変えることはできません。

変更届で済む場合もありますが、後継者が新しく取得しなければいけないものもあります。

→ 対策は?

  • 持っている許可が「誰の名義か」把握しておく
  • 「変更できるのか、再申請か」を行政書士や役所に相談
  • 再申請が必要なら、後継者名での申請を前倒しで進める

続き:制度の壁を越えたあとにも

名義や契約、許認可など「手続き」というのは少し面倒なもの。でも、それは事業を止めないために越えておかなければならない壁です。

ただし、

見えやすい制度の壁を越えたとしても、もっと見えにくい別の問題も潜んでいます。

それは、信頼関係、現場の空気、そして社長としての「顔」

制度だけでは事業は回りません。次の記事では、そんな**「見えない資産」をどう受け継ぐか**を、一緒に考えていきましょう。


制度の準備は整えていた。なのに、なぜ現場はうまく回らない?

継ぐ人が走っても、信頼や空気がついてこなければ、事業は動き出しません。


▶ 続きを読む:パート2「走る後継者、動かぬ現場」

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