パターン2 ②決まらない後継者、進まぬ準備

―「誰に継がせるか」が決まらないまま、時だけが過ぎていく ―

「いつか誰かが…」その“いつか”はいつ?

「まだ自分が元気だから」
「子どもはまだ若いし、今は別の道を歩いている」
「社員も育ってはいるけれど、もう少し時間をかけたい」

後継者について、なんとなく考えはあるけれど、まだ決めきれない。そのように話される経営者の方はとても多くいらっしゃいます。

ただ、その状態で時間が経てば経つほど、選択肢は静かに減っていきます。

なぜ後継者が決められないのか ― 4つの典型的パターン

後継者を決めるということは、とても重い決断です。単に「誰がやれるか」だけでなく、「この人に託していいのか」「本当に任せて大丈夫か」…そうした気持ちと向き合う必要があります。

いくつか、よくあるケースをご紹介します。

・子どもに継がせたくない、あるいは継いでもらえない

「別の道を進んでほしい」という思いもあれば、過去の確執や価値観の違いが尾を引いていることもあります。そもそも、子ども自身が家業を継ぐ気持ちがまったくないという場合も。

・社員に任せたいが、信頼しきれない

現場では信頼しているけれど、経営の重みまで担ってもらえるかどうかは別。数字や人付き合い、社外との対応など、まだ不安が残ることは多いでしょう。

・そもそも、誰が継げるんだろうか

経営層を育ててこなかった場合には、すぐには後継者候補を思いつかないこともあります。職人気質のかただと、「自分が全部やってきた」という自負が、後継者選びの妨げになることも。

・継承を考えると、「終わり」が見えてくる気がする

これは、実はよくある本音です。

後継者を決めることは、自分の引退や終わりを意識することでもあります。まだ現役で頑張りたい、そんな気持ちが、「今はまだ早い」という判断につながっていることも。

そして誰も言わなくなった

従業員は聞きにくい。
家族も踏み込めない。
取引先も気を遣って話題にしない。

やがて「社長がいつか決めてくれるはず」という、静かな待機状態”が会社全体を包んでしまうことも。

そのうちに、

  • 優秀な幹部社員が転職を決めていた
  • 子どもが遠方に住まいを構えて戻れなくなった
  • 親族が勝手に「誰が継ぐか」を話し合い始めていた

なんてことも。

やがて削られていく信頼

  • 従業員:「この会社、いつまで続くんだろう…」
  • 取引先:「後継者が見えない会社とは、長期の契約は難しい」
  • 金融機関:「経営体制が不安定だと融資の見直し対象に…」

こうした声は、表には出にくいもの。でも、組織の内と外で信頼は、静かに少しずつ離れていくかもしれません。

「まだ何もしていない」という深刻なリスク

後継者が決まっていなければ、どのような制度を整えればいいのかも見えません。誰に、何を、どう引き継ぐのか。その軸がないままでは、準備は進めようがありません。

そして、もっとも怖いのは、
「何も動いていない」という状態そのものが、最大のリスクになりうるということです。

なぜなら、動いていなければ——

  • 取れるはずだった選択肢も時間も、少しずつ失われていきます。
  • 外からは見えなくても、社内外で信頼や期待が静かに離れていきます。
  • 何かが起きた“その日”に、何一つ手を打てないまま混乱が始まります。

「そのうち考える」と先延ばしにしている間にも、事業は少しずつ“次に渡すタイミング”を逃していってしまうのです。

次回は、「ではどう動き出せばいいのか?」をご一緒に考えていきます


もっとも、無理やり「後継者」を決めようと焦るのは逆効果です。後継者を決めるためには、「誰が」より先に考えなくてはならないことがあるのです。

次の記事では、後継者を選ぶための第一歩をお伝えします。

→ 続きはこちら|【パターン2 ③“決められない”を動かす第一歩】

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