「誰に継ぐか」の前に「どう受け渡したいか」を考えてみる
後継者を探す、決める、選ぶ——これは、事業承継において避けては通れないテーマです。
でも本当は、「誰に継がせるか」と同じくらい、あるいはそれ以上に大切なのは、
「自分が何を残したいのか」
「どう受け取ってもらいたいのか」
を見つめること。
「この人に渡す」と決める前に、
「自分の仕事のどこに誇りを持っていたのか」
「どんな価値を、次の時代に残していきたいのか」
そこを言葉にしてみることで、自然と“託す相手”の輪郭が見えてくることもあるのです。
受け継ぐものは「生き方」かもしれない
事業を通して得たものは、ただの売上や利益ではないはずです。
誰かに感謝された経験。
社員の成長を見守ってきた日々。
地域に必要とされているという実感。
これらすべてが、事業というかたちに込められて、あなたの“人生そのもの”を支えてきたのではないでしょうか。
そして事業承継とは、まさにその人生を、「未来へどうつないでいくか」を考える営みでもあります。
「この人なら受け取ってくれる」と思える瞬間
後継者候補との対話は、単に「やる気があるか」を見極めるための場ではありません。
むしろ、自分が何を願い、何を伝えたいのかを、少しずつ“共有していく場”です。
言葉にして伝えていくうちに、相手の反応や表情の中から、自分でも気づいていなかった本音が浮かび上がってくることがあります。
たとえば、
「そんなふうに思っていたんですね」
「そういう想いがあるなら、手伝ってみようかな」
「自分が思っていた以上に、大事な仕事かもしれない」
こんな言葉が返ってきた瞬間に、
“次に継ぐ人”の姿が、少しずつリアルになっていくのです。
「話すのが怖い」と思ったら
- 「相手が重く感じてしまったらどうしよう」
- 「断られたら、もう誰にも言えなくなるかもしれない」
- 「そもそも、継ぎたいと思ってもらえるだろうか…」
こうした不安は、事業に責任を持って取り組んできたからこそ、生まれるものです。
だからこそ、最初は大げさな話ではなく、
「これからの仕事をどう考えているか」
「自分はこんなふうに引き継げたらいいなと思っている」
そんな、柔らかい問いかけからでも十分です。
自分たちだけで答えを出そうとしなくていい
事業承継は、気持ちの整理、関係性、制度設計、すべてが絡み合います。
だからこそ、第三者の視点や伴走者の存在が、大きな助けになります。
- 商工会議所や商工会での無料相談
- 行政書士・税理士・中小企業診断士との対話
- 事業引継ぎ支援センターの活用
- 経営者仲間の体験談に耳を傾けること
話すだけで、自分の考えが整理されたり、選択肢が広がったりすることもよくあります。
継ぐ人を「育てていく」
後継者は、あらかじめ誰かが用意してくれるものではありません。多くの場合、対話と信頼の積み重ねの中で、「後継者になっていく」のです。
それは、自分の中の“整理”と、相手との“共通理解”の重なり合いによって、ゆっくり形をとっていきます。
そしてそのプロセスこそが、事業だけでなく、あなたの人生を未来へと手渡していくプロセスになるのではないでしょうか。
まとめ|今すぐに始められる準備がある
後継者は、むりやり選ぶものでも、押しつけるものでもありません。あなたが誰かに「残したい想い」を伝え、誰かが“受け取ろう”と動き出してくれるプロセスが事業承継なのです。
そのために今日から、少しずつでも始めてみましょう。まずは、自分自身の事業に対する想いを整理してみませんか?
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