家族にも社員にも継がせられないとき、どうすればいい?――第三者承継の基本
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「後を継ぐ人がいない」というのは、特別なことではありません
60代・70代で現役の経営者はたくさんいます。でも、その中で「もう後継者が決まっている」という方は少数派。「後を継ぐ人が誰もいない」という状況は、けっして珍しいことではありません。
後継者がいないまま時間が経つリスク
このまま「誰にどう継がせるか」を決めずに年月が過ぎてしまうと、次のような問題が起きてきます。
- もし突然倒れてしまったら、誰も経営を引き継げない
- 取引先との契約が「社長個人との信頼」で成り立っていた場合、取引が止まる
- 銀行やリース会社から「信用の見直し」が入り、取引が中断される
- お客さんやスタッフとの信頼関係が、社長の退任とともに消えてしまう
「事業としての価値」は残っているのに、それを残す準備ができていないために、“自然消滅”のように終わってしまうことが多いのです。
家族も社員も継がない/継げない――そんなとき、何ができるのか?
たとえば、次のような状況はよくあります。
- 子どもが別の仕事に就いていて、継ぐつもりがない
- 子どもに苦労させたくなくて、自分の代で終わらせようと思っている
- 社員はいても、経営を任せられるほどの経験がまだない
- 特殊な技術や人脈があっても、それをうまく“伝える方法”がない
「誰かに任せたい気持ちはあるけど、現実的な方法がわからない」そんな声を、私たちはたくさん耳にします。
「誰にも継がせずに終わる」という選択もある。でも…
事業を終わらせること――つまり「廃業」も、立派な一つの選択肢です。
実際、「自分の代で終わりにしよう」と考えている経営者は、決して少なくありません。
ただし、ここで大切なのが、
まだ事業として価値があるうちに、きちんと次の選択肢を考えること
長年かけて築いてきた、お客さまとの信頼、スタッフの技術、地域とのつながり。
それは、単なる仕事道具や取引ではなく、あなた自身の人生の成果であり、地域にとっても大切な“財産”です。
こうした価値を誰にも引き継がずに終わらせてしまえば、ご自身の努力が形として残らないばかりか、地域社会にとっても大きな損失になってしまうかもしれません。
「あのお店、気づいたら閉まってたね」
「あの人の仕事、もう誰にもできないんだって」
そんな声が聞こえる前に、そして、まだ動ける今のうちに、“次に託す”という選択肢を持つこと。それは、ご自身の人生をきちんと未来へつなぐことであり、支えてくれた地域への「最後の恩返し」になるかもしれません。
「もう継ぐ人がいない」と思ったときこそ、“誰かに託す”という選択肢=第三者承継(M&A)が検討できる時期なのです。
「第三者承継(M&A)」って、どんな方法?
第三者承継とは、家族や社員以外の人(別会社や個人など)に、事業を引き継いでもらう方法です。いわゆるM&A(企業の合併・買収)という言葉で呼ばれることもあります。
第三者承継と言っても、その引き継ぎ方にはいくつかのパターンがあります。
【1】会社ごとまるごと引き継ぐ
これは、法人の株式(=会社そのもの)をそのまま引き継いでもらう方法です。名前や契約などもそのまま残せるため、銀行との取引や許可・認可の継続にもつながりやすい方法です。
【2】お店やサービスだけを引き継ぐ
たとえば、飲食店やサロンなどのお店の場所、内装、道具、常連さん、スタッフなどを引き継ぐ方法です。会社ではなくても、個人事業のお店でも引き継ぎは可能です。
「店の名前やメニューもそのまま使いたい」という買い手にとって魅力的な方法です。
【3】一部だけを引き継ぐ
たとえば、製造ノウハウやレシピ、看板商品、ブランド、設備などをピンポイントで引き継ぐケースもあります。事業全体ではなく、「これだけは誰かに残したい」というものがあれば、“部分譲渡”という形でも実現できます。
以上のように、引き継ぎの形はひとつではありません。「会社という形」にこだわらなくても、想いや仕事、場所や人とのつながりを引き継ぐことは可能です。
だからこそ大切なのは、「自分は何を残したいか」「どんな形で残したいか」を、自分自身で選ぶこと。
「事業を売る」ことは、決して“手放す”ことだけを意味するものではありません。
「大切にしてきたものを、次につなぐ」という、前向きな選択肢なのです。
M&Aは、最近とても身近になってきています
昔は「事業を売るなんて…」とネガティブな印象もありましたが、今では、「大切な会社を、次の人にしっかり手渡す方法」として広く知られるようになっています。
国や地域の支援も増えていて、
- 事業引継ぎ支援センター(無料・公的)
- スモールM&Aに特化した民間サービス
- 地域密着の専門家(行政書士・中小企業診断士など)
といった支援体制も整いつつあります。
次は、「どう準備すれば引き継げるのか」をご紹介します
「売る」と言われると構えてしまうかもしれませんが、本当に必要なのは、「譲る準備を整えること」。
パターン3の第2部では、
- 引き継ぐために必要な書類や情報
- M&Aの流れと注意点
- どんな人が買い手になるのか
など、できるだけ具体的に・わかりやすくご紹介します。
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**→ 続く:パターン3 ②第三者承継を実現するための準備と支援

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